一年の約束 〜セルジオからマリアへ その9〜
大好きなマリアへ
めっきり暖かくなってきました。遠乗りにいい季節です。
ティレックとシードルが、よく遠乗りに連れ出してくれます。
ちょっとしたおやつなんかを持っていったりして、とても楽しい。
…まあ、別に楽しいことばかりをしてるわけじゃないけれど……信用してもらえないかなぁ。
前の手紙に書いてあったマリアの言い分が面白かったので、そのままハイトさんに伝えました。
ハイトさんも大笑いしてたよ。
「セルジオ、お前、愛されてるな全く!」
だ、そうで。僕はちゃんと笑って「ええ」と答えておきました。
何となく、マリアだったら本当にやりそうです。ハイトさんに舌を出して…僕はどうやって攫われるんだろう。何だか立場が逆だと思うんだけどなあ…違うかなあ。
冬の薔薇、についてはこの間書いた以上のことは…やっぱり書けません。ごめんね。
悩んだけど、結局何も言わないでおきました。
フェルディオーレはまだ小さいからともかく、ティレックなら大丈夫だと思うから。
僕は彼を兄のように思っているから、信じられると思ったのです(シードルもそうだけど)。
詳しいことは、帰ったら話すね。
あと、それと…上手く言えないけど、僕はマリアを嫉妬させてしまったんだろうか?だとしたら、ごめんね。
ごめんね、って言っておきながら、でも少し嬉しかったりもします。
…ごめんね。
それにしても父上はまた、何を言ってるんだろう。「予想外の方向」って何だ。第一、「危なっかしい」って。全く。
父上の方こそ、そろそろセステアがいい季節だからって遠乗りとかしたがってるんじゃないかな。下手すると侍従とかの目を盗んで、勝手に。
「父上の方こそ、危なっかしい」
って言っておいて下さい。
今月は、マリアの誕生日だね。
この手紙と一緒に、プレゼントを送ります。気に入ってもらえるといいんだけど。
来年の誕生日は一緒に祝えることを心から祈っています。
僕も、砦で覚えた表現を使ってみることにします。
「いやっほぅい!!!」
…なんとなく違和感を感じるなあ…。
国境の砦にて、マリアの誕生日を祝っている セルジオ