一年の約束 〜セルジオからマリアへ その7〜
大好きなマリアへ
この手紙が着くころには、「1日のお休み」は終わっているのだろうか。
どんなのだったか、とても気になります。
マリアにとっていい1日であるといいけど。報告を楽しみにしています。
マリアからもらったマントは、至極具合がいいです。
もうすぐマントがいらなくなる季節だっていうのが、勿体ないくらい。
もらったものを身に付けていられるっていうのは、いいなと思いました。
そう言えば僕も、図らずもマリアの新年のドレスを当ててしまったんだね。
少しは魔術も使えるけど、そんな高度な魔術は使えないなあ…どうして分かったのか自分でも不思議です。
でも、マリアにはローズが似合うと思ったんだ。勘に近いね。
こちらに来て、もう半年以上が立ちました。
ハイトさんは「1ヶ月前にはここを発たせるとして、なんだあと5ヶ月か。つまんねえな。お前、あと3年くらいここにいてみろ」と言います。
僕が「妻と離れているのが嫌です」といったら、溜息をつかれました。
「そういうところがフェバートそっくり」だそうです。
誰と似てようと似てまいと、僕はマリアとそれ以上離れているのは嫌です。
マリアもそうだといいんだけど。
とにかく、もうあまり時間がないので、ハイトさんは僕をもっと鍛えてくれるそうです。
ありがたく鍛えられ、もっと成長してマリアのところに帰りたいと思います。
僕の誕生日にティレックが薔薇をくれたっていう話はしたよね?
その話をフェルディオーレとしていたとき、彼女が突然叫びました。
「そうよ、セルジオ、来年はここにいないんじゃない!」
その通りなので僕がうなずくと、彼女は頭を抱えました。
「いいわ、セルジオになら教えてあげる。薔薇のある場所。私とティレック兄様の、秘密の場所!」
…別にいいよ、と言ったのですが彼女はどうやら何がなんでも教えてくれるそうです。
ちょっと変わった体験が出来そうなので、一応書いておきました。
詳しくは次の手紙で書きます。どんなところなんだろうね、冬でも薔薇が咲くところって。
国境の砦で、マリアからもらったコートにくるまっている セルジオ