一年の約束 〜セルジオからマリアへ その3〜
大好きなマリアへ
随分寒くなってきたね。セステアはもっと寒いと思う。大丈夫かな?風邪とかひいてない?
僕も、マリアのことをよく考えています。
ハイトさん ─ サッカルー公爵(こう書くと別の人のようです)には、本当によくしてもらってるよ。ありがたいと思う。
マリアの言う通り、シュレインはおっとりしていて1人にするには心配です。ハイトさんもそう思うのか、奥方にはぶっきらぼうな口調で話しかけながらも、いろんなところで気を遣っているのが分かるんだ。
シュレインはハイトさんがいないと駄目だと思われているんだけど、僕はその逆だと思っています。ハイトさんこそ、シュレインに頼っているような。…僕の気のせいかな。
マリアはまだハイトさんがどんな人なのか想像つかないんだね。…何て説明したらいいのかなあ…。そのうちハイトさんがセステアに行く機会でもあって、一目見ればすぐぴんとくると思うんだけど。
ティレックとシードルは確かに2人でセットです。だから僕なんかとてもかなわない。でも、だからこそいつか2人の協力を、胸を張って受け入れられるような王になりたいと思う。
それから…ええと、手紙を書くのにも大分慣れてきたつもりなんだけど、いちいちマリアの手紙を見ながら書いているので話題が今一つすっきりできない。ごめんね。
そうそう、フェルディオーレ。
…何で気になるの?
よく分からないけど、フェルディオーレは…ええと、前の手紙に大分書いたと思うけどなあ。まだ10歳の女の子です。おしゃまな感じで、唯でさえ女性の少ないこの砦では皆に可愛がられています。
僕にもよくしてくれる。シュレインと一緒にお菓子を焼いたのを持ってきてくれたり、話し相手になってくれたり。ティレックとシードルを兄というなら、フェルディオーレは妹、だね(なんだか当たり前のようだけど)。兄弟が増えたという感じ。
逆に、フェルディオーレにはマリアのことをよく聞かれるので、僕はありのままを言います。
そうすると、そばにシードルやハイトさんが居た場合、「のろけるな」って言われるんだよね。
だって僕はマリアが綺麗だとか、頭がよくて勉強が好きだとか、本当のことしか言ってないんだよ。
マリアに相応しい夫になるのが、僕の目標の一つです。
そんなところだけど、それでいいかな?
僕も寝る前には必ずマリアのことを思い出します(本当は寝る前だけじゃなくて色んなときに思い出してるけど)。
マリアが元気でいるか、何かつらいことがあったりしないか、いつも心配しているんだよ。
だから、僕が帰るまで頑張って下さい。
帰ったら僕が出来ることはどうにかするから。
では。
レストカとの国境にて セルジオ