一年の約束 〜セルジオからマリアへ その2〜
大好きなマリアへ
どうやら1ヶ月が経ちました。そちらはどうですか?
僕は元気です。こちらの生活にも、だいぶ慣れました。
少しずつ寒くなってきています。セステアよりは暖かいけど。
父上は、相変わらずマリアをからかってるんだね。…僕がいないときマリアがそんな風に父上にいじめられてるのかと思うと、とても心配です。なるべく気をつけるんだよ。
ハイトさんは、確かに熊です。正確には、熊のように見えるんだ。とにかく豪快な人で、兵士達からはとても慕われています。
僕も、とても好きです。尊敬できる人だと思う。
前の手紙にも書いた、ティレックとシードルも、尊敬出来る人だよ。この1ヶ月で、僕はとてもいろいろなことを学びました。
マリアは、新しく歴史の勉強を始めたんだね。
前からとても詳しかったのに、これ以上詳しくなったら僕はお手上げです。
色んなことを教えてね。マリアからだったら楽しく勉強させてもらえそうです。
僕の方も話すこといっぱいあるから、お茶の時間と寝る前の時間だけでは足りないかな。
今日はティレックとシードルに、遠乗りに連れていってもらいました。
レストカとの境ぎりぎりまで行ってきたよ。
セステアにいた頃とは意識が大分変わったよ。うまく言えないけど、本当にある国なんだなあと思った。
そして、ハイトさんは勿論、ティレックとシードルがいてくれるから、僕は国境の心配をしなくてよさそうだということも、分かった。
父上の跡を継いで僕のやることは、内政。
クスコが長生き出来るように、色々やらなきゃいけないことがあります。
どういうことをやらなきゃいけないかは、勿論マリアや側近たちと相談しながら決めていかなきゃならないけど、国境の心配をしないですむっていうのは随分気が楽になるんだなと思いました。
父上はハイトさんのことを心から信頼しているっていうのは、よく分かります。
ハイトさんも、父上を信頼しているから。
僕も、ティレックとシードルを信頼しています。
…僕は、2人から信頼してもらえる王になれるんだろうか。
少し不安になるけど、頑張ろうと思う。
そうそう、こちらではまだドラゴンは見ていません。
見たら、真っ先にマリアに知らせるね。なるべく捕まえるようにするけど、駄目だったらせめてどちらの方向に飛んでいったか見ておきます。
では。
レストカとの国境にて セルジオ