一年の約束 〜セルジオからマリアへ その10〜
大好きなマリアへ
もうすぐ夏ですね。暑くなってきました。
砦は兵士が多いし、訓練も多いのでなんていうか…熱気がすごいです。
これからの季節、もっと大変なんだろうな。
セステアで優雅にお茶をしていたのが懐かしく感じられます。
やっぱり父上は遠乗りをしたがっていたか。全く仕方のない。
僕に簡単に見破られるっていうことは侍従たちもきっと警戒しているのでしょう。いい気味だ。
「セルジオは毎日のように遠乗りを楽しんでいます」と伝えて下さい。口惜しがるだろうな。
マリアが乗馬…。わ、悪くはないと思うけど、出来れば僕が帰るまで待って下さい。
それにしてもアイルーイの父王が知ったら嘆くんじゃないかな。アイルーイ王家の姫君が乗馬なんて…。
「冬でも薔薇の咲くところ」について、マリアのくれた言葉は、本当に嬉しかった。ありがとう。
マリアの手紙はいつも繰り返し読むけど、あの場所だけは特に繰り返し繰り返し、読みました。
僕のしたことが正しいか間違っているかは、まだ分からない。
でもとにかく僕は僕の正しいと思ったことをした。
マリアは、それを一緒に考えてくれて、そして僕の決断を分かってくれた。
それだけで僕は十分です。
本当にマリアの存在はありがたいと思います。
マリアの為にもいい王になろう、と改めて思いました。
今日、剣の稽古をしたあとにティレック、シードルとマリアの話をしていて僕は、
「お妃候補が他に何人いたとしても、僕はマリアを選んだと思う」
と言ったら2人に思いきりどやされたけど(のろけるな、って意味だとは思うけど)、でもやっぱり僕はそう思うのです。
…クスコに来て初めての、マリアの誕生日に渡した木彫り…?
覚えています。覚えては、います。
…忘れたいけど忘れられない思い出だなあ…。
あ、あまり詳しく思い出すのは避けよう。
今年のプレゼントは気に入って貰えたかな。気に入って貰えるといいのだけれど。
誕生日にマリアが何をしたのか、早く知りたいです。
また街に出たのかな。
マリアのような美人が何度も街に出るのは、やっぱり心配です。
僕が帰るまで、色々と待っていて欲しいな。
…と言っても、まあ、きっと…マリアは好きにしちゃうんだろうし、僕はそういうマリアが好きなんだけれど。
では。
国境の砦にて訓練を積んでいる(少しバテ気味の) セルジオ