一年の約束 〜マリアからセルジオへ その4〜
大好きなセルジオ様へ
お元気ですか?
私はどうにか風邪もひかず、息災です。
セルジオ様ったら、私の事をそんな風に言ってらっしゃるんですの…?
私はそこまでほめていただくほどではありませんのよ。
全く…マリアはサッカルー公爵御一家にはお会いできませんわね。イメージを崩してしまいますわ。
セルジオ様からのお手紙で、何となくこちらは御一家のイメージがつかめてきました。
…とは言っても、サッカルー公爵だけは相変わらず漠然としたイメージですけれど。
フェルディオーレさんは…私の妹のエルメンリーアのような方なのかな、と思います。可愛らしい方なんでしょうね。羨ましいです…。
そうそう、前回のお手紙で少しお知らせした話が本格化してきました。
お祖父様から返事がきたんですの!是非貿易をしたいということで、まずはお祖父様がセステアにいらっしゃるそうです。
今のうちに視察をして、春になったら本格的に貿易を始めたいのだとか。
お父様に話したら、喜んでおられました。
緊張します。外交ですもの!
それに…きっとお母様の話も聞けるんだろうな、と思うとそれもまた嬉しいのです。
お手紙では分からないこともありますし、もともとあまりお手紙のやりとりはしていませんでしたから…(元いた国に頻繁にお手紙出すのって、あまりよくないことのような気もしますし)。
こういう時にセルジオ様もいらしたらいいのに、と本当に思います。
お祖父様も、セルジオ様にお会いできないのを残念がっていらっしゃいました。
…でもお祖父様のことですから…ひょっとしたら、そちらの砦まで行ってしまわれるかもしれません。
商売熱心な人ですから。何と、一度はレストカにまで行ったことがありますのよ!?
セルジオ様がお帰りになる前にちゃんと貿易の基礎を築いて、城下町がもっと活気溢れるものになっているといいな、と思います。
私にも色んなことが出来る、セルジオ様のお役に立てると実感したいのです。
そうして、この離れている期間を無駄にしないようにしてゆきたいです。
何かしていれば、時間も早く経つでしょう?
要するに、一刻も早く、セルジオ様にお会いしたいのです。
それでは、お風邪など召しませぬよう。暖かくして、ちゃんとマリアのことを思い出して、お休み下さいませ。
外交王妃見習 マリア