ドアを開けると
宿屋の二つのドアが、同時に開いた。
右側の部屋からはフィリスが、左側の部屋からはウィルが顔をのぞかせる。
「ふぃ、フィリスちゃん!???」
「ウィル…??」
フィリスは頬を赤く染めている。ウィルもつられてどきまぎしてしまった。
─ き、聞こえてたのか、やっぱり!?
「えーと…どうしたの?何かあったの?」
「い、いや別に、なんでも…。ふぃ、フィリスちゃんこそ、何か顔赤いけど、どうしたの…?」
─ や、やだ、なんでそこを指摘するの!?
「別に、何でも…」
二人は非常に気まずい沈黙を15秒程体験した。
「えーと、何もないならいいんだ。じゃ、また食事の時に」
「あ、うん。そだね。んじゃ」
二人はまた同時にドアを閉める。
思ったことも同じ。
─もしかして………??
〜2つのケース(恋愛初期) 完〜
☆あとがき☆
6000hitありがとうおめでとう♪ってことでがそんみほさんから頂いたリクエストでした。
この話はねー。ほんっと難産だったです。どうしてかというと、キャラが誰一人自分のものじゃないからってのが一番かな。
これはもともとソード・ワールドっていうテーブルトークRPG(御存じない方は、そういうゲームがあるんだくらいに思って下さい)のキャラクターで、それぞれにプレイヤーがいるんですよ。だから、いつもの自分のキャラクターみたいに考えられない。キャラの持ち主の方に「こいつはこんなこと言わないようっ」と言われたら、「…ハイ」というしかありませんから。
でも。
小説を書くのは神崎なのだ。苦情が来たら来たときのことだ。どうせキャラの持ち主は全員高校からの友達なんだから、笑って許してくれるさ!…ていう風にね。開き直ったわけです。
…開き直るまでに随分時間がかかったけど。
それで、いつものように「どういう話にするかなー」と考えてみたわけですが。
なんか、今まで自分でやったことないことがやりたいなあと思って、今回こういう手法をとってみました。 2つの話が最後に1つになるっていうやつ。しかもどっちから読んでも大丈夫で、どっちを読んでも楽しめるっていうやつ。…いや、それは大げさかもしれませんが。
実験的にやってみたやつなので、是非とも感想を聞きたいなー、なんて思ったり。
まあそんなわけで、このお話はがそんみほちゃんに捧げます。6000hitさーんきゅーっ♪☆